紙の本は健常性を満たした人の特権

私は絵本が好きだ。

昨日、絵本原画展(降矢なな)へ行ってきた。

原画からは、絵本では味わえない、描き手の慎重で心のこもった筆使いが伝わってくる。

そのような丁寧な仕事に触れていると、自然と心が静まる。

400円、30分間で心の栄養補給ができた。コスパ、タイパが良い。

「絵本が好き」当たり前に口にしてしまう言葉だけれど、「ハンチバック」 市川沙央を読み、お気楽な健常者だからこそ口にできる言葉だったと知った。

以下、本から抜粋。

「私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること。5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。」

確かにそうだと思った。そのような視点で紙の本を考えたことがなかった。

異なる視点から物事を見ることは、きっかけがないと難しい。気づくことすらできない。

色々な視点を考慮しだすと、何も言えなくなってしまうけれども、異なる視点の存在を知ることは必要なことだと思った。