「母という呪縛、娘という牢獄」齋藤彩
2018年の滋賀医大生母親殺害事件について書かれたノンフィクション。
母からの教育虐待に耐えられなくなった娘が母を殺害する。
学歴に執着し、娘に依存し過ぎる母はいわゆる「毒親」だった。
こんなに恐ろしいことが現実にあるのかと驚くと同時に、他人ごととは思えなかった。
自分も毒親要素を持っている。
殺害された母親は、娘に「おまえのせいで、自分の人生がめちゃくちゃにされた。人生の時間を無駄にした」等の暴言を吐く。
私は、長男が引きこもりになってから、海外での国際協力の夢は一旦諦めた。
引きこもりの長男を家に残して海外に行ってはいけないと思うからだ。
子供を産む選択をしたのは自分なのだから、自分の夢に執着し過ぎるのはよくないと頭では分かっている。
そして、海外に行かなくてもできる国際協力があることも分かっている。現地に行くことに執着しなくても良い。
しかし、「長男のせいで、人生の軌道修正が必要になった」と考えてしまうこともある。
殺害された毒親と同じだ。自分の人生を人のせいにしている。
自分の人生を人のせいにすることは止めたいと、この本を聴き改めて思った。
軌道修正を後ろ向きに考えず、「長男のおかげで、新たに夢や可能性を考えるきっかけができた」と前向きに考えたい。